大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(ツ)70号 判決

本件土地が現在耕作の目的に供される土地でなくなっていることに関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができ、右認定判断の過程に所論の違法は存しない。そして原審の確定した事実関係のもとにおいては、本件売買は、農地法五条所定の知事の許可を経ることなく完全に効力を生じたものと解するのが相当であるとした原審の判断は正当として首肯することができる。論旨は判例違反をいうが、所論引用の判例(最高裁昭和四二年(オ)四二九号同四二年二月二七日第二小法廷判決、民集二一巻八号二一七一頁)は、農地の現況が買主の責に帰すべからざる事情により農地でなくなった場合には右土地の売買契約は、知事の許可なしに完全に効力を生ずるとの趣旨を示したものであるが、農地でなくなった事情が買主の責に帰すべきものである場合はこれを否定する趣旨であるとまでは解されず、本件において原審が適法に確定したところによれば、被上告人は昭和三六、七年頃本件土地に地盛りをし、敷地として整地したが、上告人は本件土地の近くに居住しながら本件土地の状況については全く関心がなく、右整地行為についても格別の異議を述べず、むしろ暗黙の了解を与えていたというのであり、また本件土地の現況は農地とは到底見られないというのであるから、原判決の判断は、右判例に格別牴触するところはないものというべきである。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判旨を正解しないか、または、これと異なる独自の見地に立って原判決を攻撃するものであって、採用することができない。

同第二について。

本件土地が現況において宅地であることは、原審の適法に確定するところであり、右認定判断が挙示の証拠に照らして首肯しうるものであることは前叙のとおりである。原判決に所論の違法はなく、論旨はひっきよう原判決の適法にした証拠の取捨判断を非難するものにすぎず採用できない。

同第三について。

本件売買が昭和二九年七月一二日になされたものであることは、原判決の適法に確定するところである。そして本件土地が宅地化したことにより、右売買が知事の許可なしに完全に効力を生じた旨の原判決の認定判断が正当であって首肯しうるものであることは前叙のとおりであって、ただ売買契約の日とその発効の日とが異なるにすぎず、かような場合売買を登記原因とする以上その日附を契約成立の日である昭和二九年七月一二日とする所有権移転登記は許されるものというべく、これを命じた原判決主文に所論の違法はない。

(浅沼 加藤 園部逸)

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